ゼミ「白樺キノコ(チャーガ)入門」(第1回)

「醜いコブにかくされた無限の生命力」


自然て本当に不思議なものです。


美しい白樺の木にできる醜いコブの下に思いもよらない奇跡的な力が隠されていると、誰が思いつくでしょうか。


ロシアでは、全国いたるところに白樺林がありますが、林の中を散歩していると、しばしば、木の幹に黒い大きなカタマリを見つけることがあります。コブはとても醜くていやらしい形をしていますから、気味悪がって、この”病気の木”に近づかないようにする人たちもいます。それらのコブが人間にとっていかに貴重なものであるかを考える人は少ないからです。


自然界に存在するすべてのものは、1本1本の草木に至るまで、それぞれに価値と目的があって、それぞれが意味を持っているのです。人類は、太古の昔から、自然界のさまざまな植物を、病気の予防や治療に役立てる知恵をはぐくんできました。


ロシア人にとってこころのやすらぎそのものである白樺は、健康のシンボルでもあります。その強い生命力は、人々に生きる勇気を与えてくれます。


チャーガカバノアナタケ)は白樺の木に寄生し、白樺が豊かな大地から吸い上げる養分を横取りしながら成長して、ついには木そのものを枯らしてしまうほどの驚異的な力を発揮します。


春、白樺が芽がふくらませるころになると、白樺の木は、大地からどんどん雪解け水を吸い上げます。白樺ジュースは、昔から滋養強壮のために飲み続けられてきましたが、チャーガは、まさに、この栄養満点の白樺ジュースのエキスを吸い取って成長するのです。


ロシアの人たちは、白樺の木が地中から吸い上げる雪解け水に含まれる豊富な養分を、白樺ジュースや、そのジュースのエキスをさらに吸い尽くして成長するチャーガから取り入れる知恵を持っているのです。


チャーガは、本当に醜い形をしていますが、それはまさに、大地の活力の源を凝縮した姿なのです。